1976年9月、ついに東急ハンズ渋谷店がオープンしました。
ここにいたるまでにはずいぶんと長い試行錯誤がありました。
新しいコンセプトのお店がはたして受け入れられのか、藤沢店、二子玉川店という貴重な実験を経て自信を得たものの、正直東京のど真ん中の繁華街でホームセンターのようなお店が繁盛するのか。
渋谷店の建物の特徴は、各階が少しづつずれている「スキップフロア」にありますが、これは渋谷の土地の問題点のひとつである「斜面に面した高低差6mの地形を逆に活用した「ABCという三層フロア」にしたためで、東京・銀座の「ソニービル」をモデルにしたという話もありました。
スキップフロアの特性で、お客様が今どこのフロアにいるかわからなくならないようにと、Aフロアの床のタイルは黄色、Bフロアは緑、Cフロアは水色と色分けされていました。(でもこれは大きく告知されていませんでしたのでほとんど知られていなかったですね)
当初のフロア案では、お店の中央に吹き抜けがあってその周りにシースルーのエレベーターがあるものでした。しかしこれではフロアの有効面積が少なくなるため断念せざるを得ませんでした。でもこの構造って、、そう神戸・三宮店で再採用されました。
![]()
ちなみにこのスキップフロアの店は、お店に来たら最初にエレベーターで一番上まで昇ってから、7B→7A→6C→6B→6Aと降りてきながらフロアを回るのが疲れなくていいのですね。
渋谷店は、東急ハンズ事業の集大成ということから商品の品揃えには相当のこだわりがありました。
当初の企画スタッフの熱い想い、当時「買い物は女性が楽しむもの」だった考えを一新して、「男性でも買い物が楽しめる店」「自分たちが買い物を楽しめる品揃えとサービス」をテーマに集めました。
そのため専門性の強い商品についてはテナントに入ってもらったり、それぞれの分野での専門家の高齢者に力を貸してもらうこととしました。
東急ハンズの仕入れ方式については当初、メーカーからのダイレクト仕入れを原則とするために、一旦親会社の東急不動産が仕入れそれを東急ハンズに卸す体制が考えられていました。実際には様々な方面から検討され東急ハンズが直接、メーカーや問屋から仕入れる方式に変更されました。これがのちに東急ハンズの品揃えの大きな特徴である、商品の担当者が仕入から販売まで一環して担当する「仕入販売制度」につながっていきました。
「男のホビー」を目指す店として、屋上にアマチュア無線の大きなアンテナとロッジ風のログキャビンキットの完成品や陶芸教室で使う窯、当時はまだ高額だった印刷機、製本機といったハードな機器やビデオ機器や編集サービス、高級オーディオやスピーカーキット、ラジコン模型等が揃えられました。
当時の品揃えのすごさは例えば、電球1,000種、ハンガー300種、刺しゅう糸372色、粘土200種、彫刻等は3,000本という数にあると思います(ハンズネットではとても太刀打ちできないですね)
余談ですが、渋谷店のオープン告知の新聞折込チラシの表紙には渋谷店の屋上を飛ぶヘリコプターの写真が載っていますが、じつはこのヘリコプターはラジコン操縦の模型だったそうです。
![]()
こうした様々な準備の末に、東急ハンズ渋谷店は誕生しました。
オープン当日はご来店いただいたお客様は2万5千名を超え、目論見どおり6割が男性のお客様でした。
順調なスタートを切ったような渋谷店でしたが、まだまだ解決しなければならない課題は山積みでした。


